女性の体について研究、発表するチーム「ラブテリ 東京&NY」を主宰する細川モモさんは、現在の日本でママになりたいと思っている人に、こう言っています。
「残念ながら日本は、妊娠、出産に関するリテラシーが低いという現実があります。学校でも家庭でも、きちんと教わる仕組みができていないのです。妊娠したいと思ってから、初めて自分やパートナーの体について知ることも多く、『もっと早く知っておきたかった』と思う人も少なくありません。知識があれば、ふだんの食事を変えたり、キャリアプランを真剣に考えたりなど、たくさんの準備ができるのです。ぜひ、みなさんが妊娠、出産について考える機会を増やしてくれればと思います」
これから、そのさまざまな現状を本コラム「妊娠、出産にまつわるデータ集」でご紹介していきます。
■第1回「低出生体重児」
生まれたときに体重が2,500g未満の赤ちゃんを「低出生体重児」、1,000g未満の赤ちゃんを「超低出生体重児」と呼びます。厚生労働省「人口動態調査」(2012年)によると、2012年の1年間に生まれた子どもは、男の子53万1781人、女の子50万5450人で、合計103万7231人でしたが、そのうち低出生体重児は、9.6%と赤ちゃんの10人に1人がこれに該当します。男女別で見てみると、男の子が8.5%、女の子が10.7%です。
戦後の経済成長とともに増加を続けていた平均出生体重が1975年をピークに減少に転じ、2000年には戦前を下回る水準に。他の先進国で女性の体格向上に伴い出生体重もだんだんと増えているのに対し、日本では減っているというのは、異例のこと。また、全体の出生数自体は年々低下していますが、低出生体重児の割合は上昇中。これも特筆すべき点です。
「小さく産んで大きく育てる」という言葉もあるとおり、妊娠中母親の体重を増やさず、赤ちゃんを“小さく産む”ほうがよいというイメージをもっている人も多いでしょう。妊娠時、出産時ともにママの体の負担が少なく、産後の体型戻しも楽。妊婦の体重管理も産婦人科で指導されるため、“体重を増やさなければそれに越したことはない”と考えてしまうのも不思議ではないかもしれません。
けれど、健康な赤ちゃんを産み、育てたいと思うなら、妊娠中の体重増加は当たり前のこと。厚生労働省によれば、肥満の判定に用いられる指数「BMI」(*1)で18.5未満の「やせ」に分類される人は9~12kg、18.5~25.0未満の「ふつう」に分類される人は7~12kgの体重増加が目安。「肥満」の人でBMIが25をやや超えるくらいの人は、およそ5kgの増加を目安とし、著しく超える場合は、医師に相談するなどの措置をとることが求められています。
- *1:「BMI」(Body Mass Index)とは、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計る肥満の判定に用いられる指標で、BMI22を標準とする。BMI18.5未満なら「低体重(やせ)」、18.5以上25.0未満なら「ふつう」、25.0以上なら「肥満」に分類される。