その前に行われた2006年調査の、経腟分娩だった場合を見てみると、やはり「夫」の立会いがいちばん多く39%。5年後の調査で約2割増え、59%になっていることがわかります。また、「誰もいない」と答えた人は前回調査の56%から36%に大きく減少しており、立会い出産を行う人が増えてきていることがわかります。
経腟分娩で夫に立会ってもらった女性は、夫以外の人が立会った場合、立会いのなかった場合などに比べると、「輸血やカロリー補給のための点滴処置の割合が少ない」「(夫がいることで)お産の痛みがやわらぐ割合が高い」「産後1時間以内に子どもとスキンシップがとれ、授乳することができる割合が高い」といった傾向があることがわかっているそうです。
これらの理由については、お産の経過に異常がなく立会い分娩が可能になり、経腟分娩の割合が多くなった可能性もあるため、単純に立会い分娩による効果と解釈することはできないかもしれません。また、帝王切開の場合、麻酔がさめるまで時間が必要だったり、出産後の縫合に時間が必要なことも関係してきます。しかし、夫の立会いが産婦に精神的安定をもたらすことで、産婦が出産に対して積極的かつ前向きになり、その結果、産婦が途中から帝王切開への切り替えを希望することが減少し、経腟分娩が増加する側面もあると考えられています。
夫が立会えば出産のリスクが減る、望ましい結果が得られるなどと断言することはできませんが、出産の痛みは苦しいけれど、励ましてくれる人がいることで痛みがやわらぎ、がんばれるという体験はあるようです。