もう少し細かく、妊婦の喫煙率について見ていきましょう。
まず、先ほどの調査によると、年齢別の喫煙率は15~19歳の若年層が14.3%と最も高くなっています(図2)。前回調査の34.2%からは大きく減っていますが、そもそも法的には禁じられている年代。早い時期から妊娠、出産と喫煙の関係について、正しい知識を得る機会をつくることが大切でしょう。
また、厚生労働省研究班(代表・山縣然太朗山梨大教授)が2014年2月に発表した調査結果によると、妊娠がわかったときの母親の喫煙率には、1.5~2.4倍の地域格差があることが明らかになりました。同調査は、2013年の4月から7月にかけて国で乳幼児健診を受けた母親ら75,622人を対象に妊娠判明時に喫煙していたかどうかを尋ねたもの。都道府県ごとの結果を割合に応じて5つのグループに分類したのが左図ですが、北海道や青森など最も高いグループの喫煙率(17.8%)は、最も低い愛知県などのグループ(9.1%)の2倍に達していることがわかりました(図3、提供:時事通信社)。
地域の経済状況の格差によるものと結論付けられましたが、山縣教授はこういっています。「子どもは環境を選べない。どこで生まれても健やかに赤ちゃんが育つことができるよう、社会が対策を取るべきだ」。赤ちゃんと喫煙の問題は、妊婦だけではなく、社会全体の問題なのです。