もうひとつ、合計特殊出生率をめぐる興味深い調査についてご紹介します。
初めに合計特殊出生率について、1975年に2.00を割込んだとお伝えしました。それ以降、2.00以上に回復したことはありません。ただ、国立社会保障・人口問題研究所が全国の50歳未満の妻を対象に1978年から5年ごとに行った調査によると、いずれの回も理想とする子どもの数は平均で「2人」を上回っています。一方、実際の出生数は理想の出生数をいずれの回も下回り、妊娠、出産をめぐる理想と現実とのギャップがうかがえます。(図3)
「産みたいのに産めない」理由にはさまざまありますが、社会的な要因の一つとして、仕事と子育てを両立するのに負担が重くのしかかっていることが指摘されています。とくに都心部では、待機児童の問題が解消されず、保育所に子どもを預けにくい状況が続いています。それを反映してか、都道府県別にみた2013年の合計特殊出生率は、沖縄県(1.94)、宮崎県(1.72)、島根県(1.65)、熊本県(1.65)、長崎県(1.64)などが高い反面、東京都(1.13)、京都府(1.26)、北海道(1.28)など大都市を含む地域が低くなっています。